育脳は、興味をそいだり、無理に強いることなく、豊かな遊びの体験の中で、さまざまな能力をバランスよく伸ばすことをねらいとしています。

脳は「刺激」が与えられれば育つ
人間の脳は、既にご存じのとおり、頭蓋骨という硬い骨で覆われています。その骨から順番に、硬膜、くも膜、柔膜の三段構造になっていて、それらの内側に脳があります。さらにくも膜と柔膜との間には脳脊髄液があり、それがクッションの役目をしています。
このように人間の臓器の中で、脳ほど大切に守られている臓器はほかにありません。また、人間にとって脳ほど大切なものはありません。その大切な脳は、赤ちゃんの間(歩き出すまでの生後1年前後)に90%以上が完成します。例えば、植物では、干ばつで日照りが続いた場合、土から少し芽を出した双葉のときなら枯れてしまいますが、大木ならば、少々日照りが続いたとしても大した問題ではありません。
同じ種と同じ畑で育てたとしても、双葉のときにしっかりと栄養を与えて大きくした植物と、あまり栄養も与えないで大きくした植物では、同じ種と同じ畑で育てたのにその成長は全然違うものです。これは、植物は双葉のときが、最も成長する時期だからなのです。
脳も同じことが言えます。脳が完成しつつある時期だからこそ、五感に良質の刺激をたくさん与えれば、当然、脳の完成の質も違ってきます。
ビタミンやたんぱく質ではなく、良質の「刺激」という栄養を与える。
そんな大切な脳ですが、脳に真剣に目を向けている人があまりにも少ないのが現実です。小さいお子さまがおられるご家庭では特に顕著で、お子さまの周りの大人が気にしておられるのは、身体の成長ではないでしょうか?お子さまの身長や体重を測ったりするお母さんはよくみかけますが、脳がキチンと育っているかを気にされるお母さんはどれくらいいらっしゃるでしょうか?もちろん、身長や体重は目に見えますが、脳の中は見ることはできませんし、数値で測ることもできません。脳は身長や体重よりも早いスピードで育っており、早く脳にも栄養を与えてあげないとやがて成長は止まってしまいます。
栄養といってもビタミンやたんぱく質ではありません。良質の「刺激」という栄養を与えるのです。このことが、すなわち「育脳」なのです。
よく、早い時期からの教育を「早期教育」とか「英才教育]とかと誤って解釈される方がおられますが、人間の一生の中で最も成長する時期に、最も適切な教育を行い、今しか育たないところを育てるのですから、私たちはこれを「適齢教育」と呼び、お母さま方に奨励しています。 赤ちゃんは、しかも生後1歳前後までの時期こそ、「育脳」の最も適切な時期であり、お母さまの賢明な選択が、お子さまの未来を輝かしいものへと導いていきます。 もう一度繰り返し言います。

脳は「刺激」が与えられれば育つ
「見る」「聞く」「触る」の3感覚は、お子さまの脳に最良の刺激を与え、その発達をうながします。胎児のときから1歳ごろまでに、人間の脳は驚異的なスピードで発達します。この時期に適切な働きかけをしてあげると、脳細胞間の回路が張りめぐらされシナプスの発達がうながされること、そして、このシナプスの増加が頭脳において情報を処理する力、つまり本当の意味での頭のいい子に育つ基礎となる力が形成されます。
育脳は、興味をそいだり、無理を強いることなく、豊かな遊びの体験の中で、さまざまな能力をバランスよく伸ばすことをねらいとしています。
自分自身で考えることのできる、本当に「頭のいい子」に育つよう願っています。